テレビ番組などのスタイリストとして働いていた、チェルシー・ヴォンチャズさん。
あるホームレスの女性を見かけたことをきっかけに、ハリウッドの世界にいた彼女に人生の転機が訪れる。
※本稿はコスモポリタンによる寄稿を編集・抜粋しています。
6年前のある日、ウエストハリウッドを移動しているときに、生理用品を持っていないホームレスの女性の経血が垂れ流しの状態になっているのを目撃したというチェルシーさん。
当時の心境を『POPSUGAR』にこう話した。
「誰も彼女のことを真剣に考えていないような気がしました。“好ましく思わないような人”には、目を向けることすらしていないのではないかと考えたんです」
ハリウッドで数年働くなかで、自分の人生にもっと大きな目的を求めていたチェルシーさんは、ホームレスの女性が抱える生理の問題を目の当たりにしたのをきっかけに、シェルターについて調べることに。
実はシェルターでは生理用品に予算が十分に充てられていないことが多く、生理用品が不足しているという実態を知ったのだという。
そこで母親や家族、友人と一緒に、ロサンゼルスで生理用品が不足している地域を中心に、月に一度、ナプキンやタンポンなどの配布をスタート。
そして、最初のハッとした瞬間から約1年後、チェルシーさんはスタイリストを辞め、非営利団体「#HappyPeriod」を設立した。
このプロジェクトは過去6年間で飛躍的に成長し、現在では様々な企業と提携しながら学校やシェルターなどに生理用品を届けているそう。
しかし昨年からはパンデミックの影響で、生理用品の配布やボランティア活動、教育プログラムなどが計画通りにいかない状況に。
そこで人と接触することなく、ナプキンやタンポン、生理用の下着などを配布するために「生理用品の自動販売機」を開発。
商品は無料で、マシンは立ち寄った人たちの寄付によって運営されているのだという。
こうして#HappyPeriodは、カリフォルニア州コンプトン市とアジャ・ブラウン市長の協力を得て、「Shields For Families」コミュニティセンターに最初の自動販売機を設置。
チェルシーさんはコミュニティセンターやシェルター以外にもこのマシーンを普及させたいと話し、今後は空港や中学校のトイレなどに設置することが目標だと明かした。
「家を失った人たちだけでなく、タンポンを手に入れることができない人たちにもサービスを提供したいと思っています」
さらに製品を配布するのと同じくらい重要なのは、自分の体にどのような製品が最適なのかを人々に知ってもらうことだと、チェルシーさんは説明。
この1年は、学校を訪問して月経教育のプログラムを行う代わりに、#HappyPeriodのウェブサイトから無料でダウンロードできる生理の知識やセルフケアのための電子書籍など、オンラインでの教材を充実させている。
今では毎年100万回の生理にポジティブな影響を与えているという、#HappyPeriodの活動。
「教育や安全な製品へのアクセスを橋渡ししたい」と語るチェルシーさんは、様々な活動を通してこれからも“生理のタブー”に挑戦し続ける。
チェルシーさんのインスタグラムはこちら。
Instagram / @chelseavonchaz