※本稿はTOKYO HEADLINEによる寄稿を一部編集・抜粋しています。
豊島区は、日本たばこ産業株式会社東京支社(以下、JT)、障がいのある作家とアートライセンス契約を結んだ。
その内容は、アートデータを軸に作品をプロダクト化するアートブランドなどを展開する株式会社ヘラルボニー、傘のシェアリングサービス「アイカサ」の株式会社Nature Innovation Group(以下、アイカサ)と協定を締結し、JTの社会問題と向き合う『Rethink PROJECT(リシンク・プロジェクト)』の新企画を始動するものだ。
27日、豊島区にある重要文化財の自由学園明日館で、それぞれの代表者が出席し、記者会見が行われた。
障がいのあるアーティストの作品を活用した晴雨兼用のアート傘1000本を、池袋エリアにある「アイカサ」のシェアスポットと、豊島区の本庁舎の1階と豊島区民センターの1階に新たに設けられるシェアスポットで展開する企画。
アート傘は順次スポットに配置される。
この企画により、池袋の街歩きをより楽しんでもらうことでエリアを盛り上げるとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の4つの項目の10番「人や国の不平等をなくそう」、11番「住み続けられるまちづくりを」、12番「つくる責任つかう責任」、13番「気候変動に具体的な対策を」の達成にも貢献する。
傘のデザインは、岩手県花巻市のるんびにい美術館に在籍するアーティストの小林覚氏が担当。色々な数字や文字をつなげて描く作風で、喜びを与えるアートとして注目されている。
傘はカラフルでポップなデザインで「Rethink PROJECT」の文字が浮かび上がる。
豊島区は、2020年7月に内閣府からSDGsへの優れた取り組みを行う自治体として「SDGs未来都市」に選定されている。
豊島区の齊藤雅人副区長はこの取り組みを「池袋にはなくてはならないシステム」とし、「行政だけではいい街は作れません。これからも民間企業のみなさんと手を携えて素晴らしい池袋の街づくりを進めていきたい。SDGsの理念は誰ひとりも取り残さない社会を目指すということ。豊島区も官民一体となって希望の持てる未来を切り開いていきたい。アイカサもそのひとつ。みなさんとともにいろんなところにアピールできればと思う」と、話した。
豊島区は、「Walkable City(ウォーカブル・シティ)」をコンセプトに、街づくりを進めてきた。芸術や文化スポットや公園を整備、主要スポットを巡る「IKEBUS」も展開している。
豊島区はまた障がい者のあるアーティストによる作品を広めることにも力を入れている。斎藤副区長は今回の取り組みについても「街中で障がい者アートを紹介するツールとして高く評価している」とコメント。
8月には池袋駅東口駅前にSDGsのモニュメントが完成予定で、その足元も障がいのあるアーティストたちのアートで飾られるという。
「ヘラルボニー」の松田崇弥代表取締役社長は、「障がいのある作家さんが街を彩る取り組みができることがイノベーション。池袋、豊島区の景色が傘を通じて出来上がっていき、それが美術体験になっていく新しいプロジェクト。それに参加できるのがうれしい」と、話した。
アイカサの丸川照司代表取締役は、今後について「傘をベースにさまざまなコラボレーションができると思っています。そもそも障がい者アーティストを活用したかったのではなく、障がい者アーティストが素敵だったからこそ活用させていただいたところがある。次はどんなものにひかれていくか、どんなものが魅力的かによってさまざまな取り組みをしてきたい」とした。
この取り組みは、JTが行っているさまざまな社会問題に向き合う「Rethink PROJECT」の新しい企画として展開する。
JTの島川敏彦支社長は「一緒になって社会的なテーマを世の中に示すことができるプロジェクトになっていければと思う」と期待の言葉を述べた。