新型コロナウイルス感染拡大による結婚式の中止をめぐり、式場を運営する企業(東京都)から、費用全額にあたる約209万円のキャンセル料金の支払いをもとめる訴えを起こされていた新郎新婦が8月26日、支払い済の申込金20万円の返却をもとめて東京地裁に反訴しました。
反訴したのは、関東在住の新郎新婦。代理人をつとめる金田万作弁護士によれば、2人は同2020年2月、同年6月6日を予定日とする結婚式について、都内にある式場側と合意をかわし、申込金20万円を支払いました。
しかし、新型コロナの緊急事態宣言が出された4月7日、式場は営業を自粛し、新郎新婦はキャンセルを打診したといいます。
5月8日に式場は段階的に再開しましたが、新郎新婦は「遅くとも5月11日に確定的なキャンセルを電話で告げたといいます(式場側確定的ではない」として争いあり)。
その時式場側からは、延期と中止について(1)延期費用支払いのうえで延期、(2)解約料支払いのうえで解約の選択肢を示されました。
しかし、新郎新婦は、新型コロナの影響により、結婚式は実施できなくなったとして、規約記載の「不可抗力」による契約解消でキャンセル料を負担しないことを主張していたということです。
予定日に現れなかった新郎新婦は今年5月25日、当日キャンセルとして、申込金をのぞく全額キャンセル料金209万円をもとめる訴えを東京地裁に起こされました。
金田弁護士は、仮に予定日に新郎新婦が式場を訪れても、料理のメニューも決められていなかったため、会場では何も準備がなされていなかったのではないかと話します。
新郎新婦としては、「支払った20万円については、法律上請求できるとしても、痛み分けとして諦めるつもりだったが、実際には準備もしてないであろう結婚式の全額を請求する式場を許せないという思いで反訴に至った」(金田弁護士)との考えです。
コロナの影響による結婚式キャンセルの場合、不可抗力にあたらないとする式場側との間で、主張は対立しています。
「コロナが不可抗力であることに争いはないと思うが、実施できたかできないかが問題。コロナ禍前の通常の結婚式を予定していたが、それはできなくなった」 裁判で新郎新婦側の主張が通った場合、ほかの式場に影響が生じる可能性も考えられるといいます。
※弁護士ドットコムニュース編集部