新型コロナウイルスワクチンの職域接種で、2回目を打てないケースが問題となっています。
企業などが一定期間に限って行う方式のため、急な体調不良などで一度キャンセルすると改めての予約が難しくなします。職域接種では米モデルナ社製のワクチンが使われていることから、こうした問題はインターネット上で「モデルナ難民」とも呼ばれ、困惑する声が上がっています。
厚生労働省の担当者によると、職域接種で2回目を予定通りに受けられない人は各会場から「数人程度出ている」と報告があるといいます。濃厚接触者や体調不良となったり、急な仕事が入ったりすることがキャンセルの理由です。こうした事態を受けて厚労省は、2回目を打てない人が出る場合には職域接種の期間を延長するよう企業側に求めています。さらに8月、期間延長でも対応が難しいのなら企業側が近隣の職域接種会場に相談したり、都道府県が受け入れ可能な別会場の情報を企業側に提供したりするよう求める事務連絡を出しました。東京都が実施しているような自治体の大規模接種会場での受け入れもアイデアの一つとしています。
職域接種は6月21日から企業や大学、団体などで本格的にスタートしました。5202会場が申請し、接種予定人数は約1821万人(6月25日現在)。ワクチンの供給不足で予約が困難な自治体の接種を補完する狙いがあり、使用するワクチンは自治体の集団接種や個別接種で主流のファイザー社製ではなく、モデルナ社製としています。
モデルナ社製のワクチンは、2回目をいつまでに打てばいいのでしょうか。厚生労働省はホームページで、1回目から4週間後が標準としています。一番早くて3週間後に受けることもできますが、それより前は接種できません。
4週間を超える場合はできるだけ速やかな接種を求められるものの、1回目と2回目の間隔に上限が定められているわけではありません。米国や欧州連合(EU)の一部では6週間後までの接種を目安にしています。
東京医大の濱田篤郎特任教授(渡航医学)は「モデルナワクチンの承認に用いた海外の臨床研究では、接種間隔が6週間まで効果があったというデータがある。標準の4週間で接種できなかった場合でもなるべく早く2回目を受けてほしい。6週間を超えた場合は、医師と相談を」と話しています。