※本稿は、金川 顕教(公認会計士)氏による著書『年収1億円の神ルール10』(ポプラ社)を一部編集・抜粋しています。
AI化、終身雇用の崩壊、コロナ不況……混沌としている世の中では「会社に頼らなくても生きていける力」を身につけることが大切です。
その力の一つと言えそうなのが「読書力」。
本記事では、読書量と年収の相関関係から、読書が仕事にもたらす効果について見ていきます。
筆者は、公認会計士になって起業をしようと考えた時から、1日に2冊、年間730冊の本を読んで勉強するようになりました。
その読書習慣は今でも続いており、現在は、1日2冊、読んだ本について解説した動画を「YouTube図書館」というチャンネルにアップしています。
なぜ、たくさん本を読むのか。
それは読書することで知識が増え、仕事の生産性やクオリティーが上がるからです。
生産性が上がると、仕事が早く終わります。
すると、ますます自由な時間が増え、読書する時間が増えるというプラスのスパイラルが回り出します。
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのような大富豪を含む富裕層と、年収300万円前後以下のビジネスマンの読書量を調べた研究データが、アメリカの「Business Management degree」に掲載されています。
それによると、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読んでいましたが、年収300万円以下の人は、わずか2%でした。
富裕層の86%が読書家で、富裕層の63%は、移動時間にオーディオブックやYouTubeを視聴しています。
そこで筆者が日本のデータを調べたところ、日本では、20代、30代のビジネスマンは、1ヵ月に平均0.26冊しか本を読んでいませんでした。
しかし、30代で年収3000万円の人は、平均で9.88冊、本を読んでいて、その差は38倍にもなります。
筆者に言わせれば、時間がないから読書ができないのではなくて、「読書をしないから時間がない」のです。
「時間がないから読書ができない」というセリフは、絶対に言ってはいけないことだと思っています。
実際、毎日朝起きたら本を読み、寝る前も本を読み、隙間時間も本を読んでいます。
例えば、打ち合わせ場所には、できるだけ30分前に行き、読書をしています。
また、実はこれは分散効果といって、朝は通勤電車、昼はカフェ、夜は寝る前のベッド、おやつの時間はリビングで読むというように、場所を変えることによって、より理解力が深まるという利点もあります。
そもそも、仕事というものは、期日までに終わらせることが大前提です。
徹夜をしても仕事は終わらせますし、その一方で、どんなに忙しかったとしても、毎日、食事も風呂も歯磨きも、必ずみなさんしています。
ですから、読書ができないのは、「時間がない」のではなく、読書や勉強の「優先順位が低い」ことにほかなりません。
知識や知恵があれば出世したり、独立することもできます。
雑誌『プレジデント』がまとめた「年収1800万円の勉強法」という記事に掲載されているアンケート結果によれば、40歳以上で年収1800万円以上の人は、月に平均5.4冊読んでいるそうです。
それに対して年収600万円台の人は、月に平均2.5冊というデータが出ています。
つまり、読書量が2倍の人は年収が3倍になるということです。
このように読書と年収には相関関係があるのです。
年収を伸ばして幸せになりたい人、仕事で成果を上げたい人は、読書量を必ず増やすこと、読書の優先順位を上げるということが非常に大事です。
ちなみに孫正義さんは、起業した若い頃は、3年間で4000冊の本を読んでいたそうです。
ぜひ、これまで読書が習慣としてなかった人も、まずは週1冊でよいので読書に取り組んでみてください。
週に1冊読めば、月に4冊、年間で48冊になります。
もちろんただ読めばいいというわけではなく、学びを成果に変えることが大切ですが、まずは週1冊を習慣にしてみましょう。
例えば、プロスポーツ選手は、トレーニングに80%の時間を使い、試合に20%の時間を使うと言われています。
しかし、ビジネスマンは、そうではありません。
多くのビジネスマンは、仕事にほとんどの時間を使っていて、勉強時間はごくわずかです。
例えば、1日8時間、週40時間働いて、1ヵ月160時間働いているとすると、読書時間は1%、1.6時間に満たない人がほとんどではないでしょうか。
つまり、仕事が99%で、読書はたった1%です。
試合に勝つためにプロスポーツ選手が練習をするように、ビジネスにおいても、学びなくして成功することはあり得ません。
しかし勉強に費やす時間がごくわずかの状態では、成功できるはずがありません。
ここで言う「学び」とは、単に知識を入れるだけでなく、入れた知識をベースにして、自分で深く考えることです。
深く考えることを、ラディカルラーニングと言いますが、これは思考力にもつながることです。
このラディカルラーニングをすることが、本当の意味での学びとなります。
そのためにも読書は必須の行為と言えるでしょう。
学生の頃は、「義務教育」で、嫌々勉強していた人も多いかもしれません。
しかし、筆者は、大人の学びは、「権利教育」だと考えています。
「権利教育」とは、自由な学びです。
自分でテキストを決めていいし、目標も期限も、自分で決めていいのです。
学ぶことは、人に言われるからするのではなく、自分の権利です。
ですから「権利教育」なのですが、そのベースとなるのも読書です。
読書は、本を通じてさまざまな人の成功や失敗が学べます。
特にビジネス本の内容は、仕事で成功している人の実話、ノウハウ、人生経験などがほとんどです。
ですから、著者になっている人たちの10年分の知識や経験が、1冊の本、金額にしてわずか1500円程度で学べるわけです。
成功の理由というのも参考になりますが、勉強になるのは、失敗した理由や、失敗した時の心構えです。
エジソンの2万回の失敗のエピソードを例に出すまでもなく、人間は、何かに挑戦する時、一発で成功するということはまずなく、必ず成功する前に失敗をしています。
しかし、多くの方は、起業、ビジネス、転職など、失敗への心構えができていません。
例えば起業しても5年続けられるのは10%、10年後に生き残っていることができるのは1%とよく言われます。
どこかで失敗をして倒産をしたり、会社員に戻るのです。
しかし、読書で他人の成功談や失敗談を学んでいれば、自分が失敗をしたとしても、焦ることはありません。
月収が下がる、会社が潰れる、リストラにあうなどといったことが、すべて想定内となるからです。
ウォルト・ディズニー、カーネル・サンダース、マッカーサーなど、世界的な偉人も、必ず失敗をしています。
このあたりのエピソードについては、『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』(大野正人/文響社)という本がおすすめですが、これを読むと、偉人と言われる人たちが、失敗から何を学び、どういう心構えで行動して成功をしたかが分かります。
つまり、読書によって人の成功や失敗を前借りして学ぶことが、最短で成果を出すことにつながるのです。
YouTube図書館でも解説動画をアップしていますが、ぜひ本を購入して読んでみてください。
先にお伝えしたデータでも分かるように、圧倒的に今の日本人の多くの人たちは、読書量が足りていません。
逆に考えれば、そこで読書をすれば、人と差を付けることができるというわけです。