年度の後半が始まる10月からは、国などの制度変更や商品の価格改定が相次ぐとのこと。特にたばこ税の増税や原材料価格の高騰などで、幅広い商品で値上げが予定されており、多くの人の財布を直撃しそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い19都道府県に発令中の緊急事態宣言は今月末をもって解除されそうで、自粛の反動による〝リベンジ消費〟への期待も高まりますが、相次ぐ値上げが消費意欲を下押しする可能性もあります。
愛煙家を悩ますのがたばこ税の増税です。紙巻きたばこが1本当たり約1円の増税となるほか、火を使わない加熱式も算定方法の変更で増税。これまで税率が低かった葉巻たばこの一種「リトルシガー」も紙巻と同水準まで引き上げられる予定なんだそう。
これに伴い、各社は一部を除き商品値上げを発表。日本たばこ産業(JT)は紙巻きたばこを1箱10~40円、葉巻たばこは70~130円、加熱式は30円引き上げます。米フィリップモリスと英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の日本法人も国内で販売するたばこについて10~100円の値上げを実施していきます。
天候不順などに伴う原材料費の高騰を背景に、加工食品の値上げも相次ぐ様子。雪印メグミルクは家庭用マーガリンなど14品目を1・9~12・2%値上げし、明治も9品目の価格を4・3~12・8%引き上げます。国が輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格も10月から19%引き上げられることになっており、年末年始にかけて製品価格にも反映される見通しです。
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とアウディの日本法人は日本で販売する新車の大半を値上げするのだとか。世界中で新型コロナのワクチン接種が進み、経済活動が再開したことで鉄などの価格が高騰しているためで、今後は国内メーカーの対応も注目されます。
10月からは地域別最低賃金が引き上げられ、固定の加入電話から携帯電話への通話料が安くなるほか、一部銀行の他行あて振込手数料が引き下げられるなど、家計にとってプラス材料もありますが、全体としては負担が増える家庭が多そうです。
みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「今年に入って携帯電話料金の値下げで家計の負担は軽くなったが、ガソリン価格の高騰で打ち消された。最近の相次ぐ値上げは、リベンジ消費にも影響が及ぶ可能性がある」とみています。(蕎麦谷里志)