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コロナ禍で発見!「わたしの新しい価値観」

川崎貴子

まだまだストレス発散の手段が制限されている世の中、そこで新たな価値観を見つけた人々がいます。きっかけは、新しいチャレンジを始めたこと。

コロナ禍によって「時間ができたから」チャレンジを始めた人もいれば、「追い込まれたから」という人もいます。

今回は、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を手掛ける川崎貴子さんに、「新しいチャレンジと価値観」について語っていただきます。

※本稿はリクナビネクストジャーナルへの川崎貴子氏による寄稿を一部再編集・抜粋しています。

勇気を出してハードを変えてみたらソフトがいっぱいついてきた

過去の記事「ベストバイでワーママたちのコロナ禍中のストレス解消を!おススメ7選!」を書いたのが今年の1月。

当時、「今はコロナ禍で大変だけれど、夏のオリンピック開催ごろにはもろもろ落ち着いてきているのでは?」なーんて、筆者は甘く考えておったものです。

そしてその大きなイベントも終わり、2021年9月のいま。

現実はというと、ワクチン接種率が伸びている・感染者数が前週よりも減ったというニュースが聞かれるようになった一方で、まだまだ「医療現場ひっ迫」「若年層の感染者」などの不安な情報をキャッチせざるを得ない状況であります。

ワクチンは打てたけど、今後はどうすればいいの?など、相変わらずストレスの溜まりやすい日常に変わりありません。皆さまは、いかがお過ごしでしょうか?

私は、といえば、人生で初めて「高枝切狭」を買いました。

実はこの度、築45年の古い家へ引越しをしまして。そこには小さくとも立派な庭がありました。また、磨かれた古い家特有の廊下からは、もともと住んでいた大家さんが大切に暮らしてきたであろう気配がビンビン伝わってくる、そんな佇まいです。

そこで、かつてサボテンすら枯らしていた女は気づきました。

「これは責任重大だ」と。

私の代でこの庭や家を荒らしてはならないと。

これまで草木の手入れどころか掃除すら人生でほとんどしてこなかった私が、毎日、謎の責任感に突き動かされて家事に励んでおるのです。「ママはいったいどうしちゃったの?」と家族を怯えさせながら。

引越し後のこの生活は、利点ともいえる多くの副産物をもたらしてくれました。とにかく早起きして庭をいじり掃除をするので、コロナが始まってから増えた酒量が減り、寝る時間が早くなったのです。

すると、良質な睡眠が取れて気分が上がる。仕事や勉強の効率も自動的に上がる。家族とのご機嫌な時間も増える。などなど、環境を変えてみる大切さを、身をもって知ることとなりました。

私のように、習いごとや運動は続かないタイプの人間が変化するためには、思い切って「ハード(住む家)を変えてみる」ことはとても有効な方法だったようです。

おかげで、ソフト(副産物)まで得ることができました。新しいチャレンジを始めた身の回りの人々のエピソード

こんな風に、私以外にもコロナをきっかけに新しいことにチャレンジしている人が多いようです。

周囲をリサーチしたところ、その熱量を見るに、「時間ができたから」とか「ストレス解消に」という動機は当然あるのでしょうが、彼ら彼女らの「これを機に変わりたい」という自己バージョンアップ欲のようなものを感じずにはいられません

他人とのナマ交流を長いあいだ禁じられると、他人からの刺激を受けられず、自分自身に変化を求めるようになるのかもしれないなぁと思った次第です。

でもそれって、ある意味好機ですよね?

AI英会話を始めた人のケース

ある私の知り合いは、コロナを機に英会話の勉強を始めました。今までも何度か英会話教室に通ってはみたものの、仕事が激務なため、レッスンを度々キャンセルする羽目に。で、結局のところ続かなかったそうです。

ところがいまはテレワークになり、通勤時間がない、会議が簡素化されるなど、英会話を習える時間の確保が容易になったそう。おまけに、教室に通うのではなくAIが教えてくれるアプリで学習しているそうで、好きな時間に好きなだけレッスンを受けられるというシステムも続けられやすい理由なのでしょう。

また、驚くべきポイントはそのお値段です。AIのアプリなので、講師料金も教室も必要ないからか、まさかの年間15000円前後(当時)。この話を聞いて、私も「娘たちにいいのではないか?」と使ってみましたが、テクノロジーの進歩に驚きの、お値段以上のアプリでございました。特に対人講師だと緊張してしまう人にはもってこいの学習方法かと思います。

肉体改造に励みだした人のケース

英語学習がスキルアップのチャレンジならば、コロナを機に「肉体改造」にチャレンジした友人もおります。

彼女は、若いころに比べて体力が落ちていること、20代のころから比べると8kgも太ってしまったことをずっと気にしていたけど、忙しさにかまけてそれらを考えないように、後回しにし続けてきたのだといいます。

彼女に火をつけたのは、とあるネット記事でした。「“体力低下”にはこんなデメリットがあるよ」と触れた記事を読んだときに、コロナ禍という状況も相まって、「万が一に備えて体力を取り戻さなければ…!」「今こそ立ち上がる時だ!」と思ったそうです。

危険をおそれる、つまりはリスクヘッジをきっかけにチャレンジがスタートするというのも、人間くさくて良いではありませんか。

以来、彼女はキックボクシングのジムに入会し、トレーナーの教えを守りながら、体を鍛えています。つい先日も、「体力がついて階段を上るのも楽しい」と笑顔で話す彼女に私の目が釘づけになったのは、その肉体があまりにも美しく改造されていたからでした。単に痩せた、というより、かっこよく締まったという感じ。

やる気を持ってすれば、仕上がりのレベルが違うんですね。

歯から大学院まで色々なケースがある

ほかにも、歯の矯正にチャレンジした者、貸し農園を利用し始めた者、オンライン大学院に入学した者…と、コロナ禍きっかけのチャレンジャー情報は、小気味良く耳に入ってまいります。

長年の夢や課題をクリアにしたわけですから、皆さん一様にとても幸せそうなわけですが、話を深堀して聞いてみると、更なる副産物がついてくるのだということがわかるのでした。

チャレンジの次には、新たな価値観の発見が待つ

私の庭いじりもそうですが、環境や習慣を変えると、新たにやること・やりたいと思うことが増えます。そして、それをこなすうちに新たな価値観に気づくのです。

例えば私の場合、まず、今までいかに自分が効率とか世間体とかを気にしてタスクを作り、「他人が望む自分の強化」にやっきになってきたか、ということを実感しました

次に気づいたのは、本当に自分自身がやりたいことや克服したい課題なら、見て見ぬふりをしてはいけない、という価値観です。

以前から、「本来人生とは自分マターで生きるべき」と私は思っていたはずなんです。でも、ルーティン化してしまった日常の上ではなかなか変化を起こせず、これを価値観としてまでは認識できなかった。そこに、やっと気づけたのです。

嬉しかったのは、今回の新たな価値観の発見には、副産物として自信や健康、ほがらかさや余裕、美やカッコよさなんかが図らずもついてきたこと。

時間が余ると、どうしてもテレビやネットを見てしまい、不安な情報をたくさんインプットしてしまいがちです。でも、「本当にやりたいことに気づいてあげられるのは自分自身だけ」と奮い立たせ、時には不必要な情報を遮断して、自分の内なる希望を聞く時間が必要かと思います。

価値観とチャレンジのループは蓋はずしから

また、新たな価値観が芽生えると、自分自身に更なるチャレンジを促すことになります。

私自身、働く女性や働くママ向けに「家事で悩んでいるならラクをする方法を考えよう」を提唱している身なのですが、そんな私が緊急事態宣言1回目のころから始めたのは「ケーキ作り」でした。

私は甘いものが苦手で、そのうえ面倒な手順が多い「スイーツ」は一生作らないと心に決めていたものですが、とうとうそれに手を染め、自分では味見できないケーキやゼリーを、「家族のために」という新たな価値観のもと、毎週コンスタントに作っているのです。

実際やってみてわかったのは、本当は「娘たちに手作りスイーツを作ってあげたい自分」がいたのに、立場や自分の発言などを鑑みてその感情にがっつり蓋をしていた、ということでした。

これも、「ママ、マジでどうしちゃったの?」と、家族をビビらせた習慣でしたが、今では喜んでくれているので結果オーライ。私も楽しく、幸せにレパートリーを増やしております。

私はまだ手を出していないのですが、昨今のキャンプブームも、新たな価値観を発見した人々にウケているのではないかと思っています。

本来なら、外で食事を用意して寝泊まりするって大いなる手間なはず。でも、効率社会に慣れている人にとってはその中で身につけたスキルを発揮する場にもなるし、「自然の中での暮らし」が、インドアではさまざまな制約によって蓋をされていた自分に開放感をもたらしてくれると知り、ハマってしまうのでしょう。

自分で自分に押す「いいね!」

環境や体験、スキル獲得など、新たなるチャレンジを始めてみるのに「今からでは遅い」ということは、法などのよほどの条件がない限り、ほとんどありません。

もちろん、自分の現状とよく相談してベターな選択をすることが何よりも大切。その上で、まずは自分自身にのしかかる重い蓋を取ってあげることからがスタートです。

新しいことへの挑戦は失敗の不安がつきまとうけれど、「こんな世の中なのに頑張っているね。楽しんでいるね」、と言ってくれる人はきっといるし、だれよりも自分自身が「いいね!」と太鼓判を押してくれるでしょう。

本来はそのような環境づくりをみんなで協力して目指したいものだけれど、まずは一人ひとりが何ごとも楽しめる余裕を持てるように、素敵な副産物を手に入れられるように、「新しいことへの挑戦」から「新しい価値観の発見」を実践してみてください

◆川崎 貴子さん プロフィール◆

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。

1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。