話題になっているコロナ太りの原因やからだに及ぼす悪影響はあまり知られていません。
そこで本稿では、雑誌『PHPからだスマイル 2021年6月号』にて、内科医の工藤孝文さんが解説した「コロナ太りの正体と改善のポイント」を紹介していきます。
※本稿は、月刊誌『PHPからだスマイル 2021年6月号』より一部抜粋・編集しています。
コロナ太りの原因は、運動不足もありますが、実はホルモンバランスの乱れによる食生活の変化や、仕事・生活などのストレスによる脂肪増加にあります。
自粛生活やテレワークで日光を浴びる機会が減ると、幸福感を得られるセロトニンの分泌が減少。
また、趣味や買い物を自粛することで、やる気や幸福感を得られるドーパミンも出にくくなります。
セロトニンは糖質を摂ることで、ドーパミンは油を摂ることで増えるため、スイーツやパン、ポテトチップスといった嗜好品を食べる量が増えて、肥満につながるのです。
さらに、ストレスを感じると分泌されるコルチゾールという物質は、筋肉を脂肪に変えてしまうため、自粛生活によるストレスもコロナ太りの原因になると考えられています。
肥満は見た目だけではなく、深刻な健康悪化につながる万病のモトです。
そして、以下の5つの悪影響にもつながってきます。
【1】糖尿病
内臓脂肪が増えると、脂肪燃焼効果のある「アディポネクチン」というホルモンの分泌が減ります。このホルモンはインスリンにも関係するため、糖尿病のリスクが上昇します。
【2】高血圧
体内の水分と塩分のバランスを調整している「アンジオテンシノーゲン」というホルモンも内臓脂肪に影響されます。内臓脂肪が増えると、血管が収縮し、高血圧になる恐れも。
【3】脳や心臓の疾患
内臓脂肪は、分解されるとコレステロールや中性脂肪の材料になります。それが動脈硬化につながり、脳梗塞や心疾患など、命に関わる病気を引き起こすので注意が必要です。
【4】がん
糖尿病の項目で、脂肪燃焼効果があるとご紹介した「アディポネクチン」は、がん細胞の増殖を抑える働きもあります。内臓脂肪が増えると、がん細胞を抑えきれなくなるリスクが高まります。
【5】認知症
アルツハイマー型認知症の患者さんの約60%は、内臓脂肪の量が基準を超えているというデータがあるほか、中年期に腹部肥満の場合、認知症になる確率が3倍になるとの報告もあります。
内臓脂肪が恐ろしいものだとご理解いただけたかと思います。
以下の3つのうち、脂肪を減らすダイエットに失敗するいちばんの原因は、「ストレス」です。
【1】食事の量や内容を変えること
【2】運動すること
【3】ストレス対策
ストレスを感じていると、お腹は減っていなくてもスイーツが食べたくなったり、ジャンクフードのやけ食いをしてしまったりします。
これはストレスがかかっているときに、交感神経が優位になっているからです。
そして、自律神経のバランスをとるために副交感神経を優位にしようとするのですが、そのもっとも簡単な方法が食事をとること。
ですから脂肪を確実に落とすためには、「また食べてしまった」「なんで自分はできないんだ」などと、自己嫌悪におちいったり、自己否定したり、自分を責めたりしないことがとても大切です。
そして、“ストレスを感じたら食べる“という癖をなくすめために、食事以外にストレスを発散できるようなこといくつか見つけましょう◎