主産国ブラジルで異常気象による生産障害の報告が相次いでおり、国際指標となるNYコーヒー先物価格が2014年10月以来の高値まで高騰。レギュラーコーヒー製品の値上がりが進みそうです。
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※Investing.comより
南半球は冬のピークに向かうタイミングですが、ブラジルでは寒波の影響で広範囲にわたって降霜が発生し、コーヒーの樹木が大きなダメージを受けたとみられています。
7月20日の早朝に発生した降霜でどの程度の被害が発生したのかは確定していませんが、ブラジル食糧供給機関(Conab)が26日に公表した初期調査では、15万~20万ヘクタールのコーヒー農地が何等かの被害を受けようです。
今年度分の収穫作業は終わっているため、直ちに影響が生じることはなさそうですが、来年度のブラジル産コーヒーの生産高が10%程度は喪失されるのではないかという見方が強くなっています。
ブラジルのコーヒーは隔年で増産と減産を繰り返すサイクルにありますが、今回発生した降霧被害によって、それが難しくなる可能性が高まっています。
米農務省(USDA)によると、2021/22年度のブラジル産コーヒー生産高は前年度比19.5%減の5,630万袋(1袋=60kg)と大きく落ち込んでいます。干ばつに加えてパンデミックによる混乱もあり、前回減産年である「裏作」19/20年度の6,050万袋と比較しても6.9%の減産に。
このため世界的にコーヒーの在庫がタイト化しており、本来は増産年である「表作」22/23年度の増産によって在庫タイト感の解消を進める見通しでした。
しかし、今回の霜害では500万袋規模の生産が失われる可能性もあり、コーヒー需給のひっ迫状態が長期化する可能性が高まっています。
UCC上島珈琲は7月8日に家庭用レギュラーコーヒーの価格改定を発表し、小売店の実質店頭価格は9月から20%程度上昇する見通しになっています。また、業務用レギュラーコーヒーについても納入価格の順次改定が予定されています。
しかし、この価格改定後だけでも既に大幅な値上がりが進んでおり、価格が早期に沈静化しない場合には、飲食店や家庭におけるコーヒーの家計負担は一段と拡大しそうな状況と言えます。