料理酒が日本酒と違う一番のポイントは「塩が添加されているものが多い」ということ。
それ以外にも、一般的な料理酒の原料となるお米は日本酒と比べて磨きが少ないことや、アルコールが抑えられている場合があることも特徴です。
また、酒税法上、塩を添加して飲めないようにすることで、酒類販売免許を持たないお店でも販売ができるというような違いがあるそうです。
まず日本酒は、酒税法によって以下のように定義されています。
・米、米麹、水を原料として、ろ過して造られたアルコール度数22度未満のもの
・風味をよくするために添加される糖類や醸造アルコールなどの添加物の合計が、米の重量を超えないこと
そして、「料理酒」と呼ばれているものは、酒類に分類される「清酒」と、食品に分類される「発酵調味料」があります。
■料理酒の種類
【酒類】
●料理用清酒
料理にコク・うま味を与え、生臭みを消すように工夫して製造されている。
●飲料清酒
飲んでおいしいように、余分な酸味や雑味を取り除き、味のバランスやキレのよさが重視されている
●合成清酒
清酒と同様に作った原酒をベースに、酸味料、調味料などの原料を加えて、清酒らしい味わいに仕上げている。料理用清酒や飲料清酒と比べると、風味が劣る。
【食品】
●発酵調味料
・発酵調味料は、清酒を造る段階で、もろみに食塩を添加し、酒類として飲めないように処置されたもので、酒税がかからない食品に分類される。
・酒税がかからないため、酒類に比べると安価で購入できる。
・酒類ではないので、酒類販売免許を持たないお店でも販売できる。
・製造工程で3%ほどの濃度の食塩を加えているので塩辛く、清酒の配合量が少ないため、風味が弱い。料理の味付けに使うときには、料理酒に含まれている塩分を考慮する必要がある。
お酒の調理効果には以下のようなものが挙げられます。
・素材の生臭みを消す
・風味や香りをよくする
・素材のうまみやコクを増す
・材料を軟らかくして、味を染み込みやすくする
これらはアルコールの持つ揮発性や保水作用、酵素やアミノ酸の性質によるもので、科学的にも立証されている調理効果です。
吟醸酒や大吟醸酒のように、精米歩合が高い日本酒は料理酒には向かないとされています。原料の米を削ったときに生じる雑味や酸味を排除している分、お米のうま味も取り除かれてしまっているからです。吟醸酒や大吟醸酒は飲むのに適しているといえます。
一般的な料理に使うときは、この雑味や酸味も含まれた料理酒の方が、どっしりとしたコクを与えてくれるそうです。シンプルな蒸し物のように素材の味わいを大切にしたい料理には、精米度合の高い純米酒を使うなど、料理によって使い分けるといいそうです。