相次ぐ保育所の休園　コロナ5派　保護者支援など対策急務

子供への感染が広がっている新型コロナウイルスの感染「第5波」で保育所の休園が相次いでいる様子。厚生労働省によると、9日時点で少なくとも全国16都道府県で126カ所が休園。第5波当初の6月下旬と比べると約6倍に増えており、予断は許されない状況です。子供の世話のために保護者が仕事を休まざるを得ないケースもあり、国や企業による支援が求められています。

「突然の休園に頭が真っ白になった」

厚労省のまとめでは、9月9日時点で休園した認定こども園や認可保育所などは少なくとも、北海道、青森、秋田、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、愛知、京都、大阪、和歌山、島根、広島、山口、宮崎の16都道府県で126カ所。同日までの累計では、感染者が発生した保育所は5627カ所、関係する感染者は保育士ら職員5550人、利用乳幼児6751人となりました。 

休園前日の夜9時に保育園休園のメールが届き、急遽在宅ワークに切り替え子供の面倒を自宅で見ながら仕事をしたという男性もいます。勤めている会社や立場によっては、対応出来ない人も多くいるでしょう。

ひとり親を支援する団体「エスクル」の代表理事、今井智洋さん（34）は「ひとり親は頼れる人がいないケースが多く、仕事を休むしかないことも」と指摘。「契約社員やパートの場合は、休めばその分給料も減る。休業補償の支援、それも個人が簡易的に手続きできる仕組みが必要」と説明します。 

新型コロナの影響による休校・休園で仕事を休まざるを得なくなった保護者が会社を通じて助成金を申請できる制度がありましたが、厚労省は今月7日、個人でも申請できるようにすると発表しました。これまでは会社が対応しなければ制度を利用できないなどの問題点が指摘されていたためです。 

一方、保育現場では「3密」対策徹底の難しさから、保育士へのワクチン接種促進が求められています。 

ある墨田区立保育園の園長は「0～5歳の子供を預かっており、オムツ交換や着替え、だっこなど職員との密着は不可避」と話します。 

国などの指針では、窒息の可能性もあることから2歳未満のマスク着用は推奨されていません。 

墨田区では早くから保育士へのワクチン接種を進め、この保育園でもほぼ全職員の接種が完了したといいます。園長は「区の対応が早くて助かったが、区外から通っていた職員は接種が遅く、自治体ごとの違いを感じた」と語りました。 

全国の認可保育所の約9割が加入する「全国保育協議会」は、デルタ株蔓延（まんえん）による子供への感染拡大を踏まえ、国の掲げる優先接種の対象に保育士を加えるよう提言しているますが、現状は自治体ごとの判断に任せている状況です。 

東京都は8月、大規模接種会場の対象に保育士を加えると発表。福岡県も、9月中に設定する9カ所の会場で39歳以下の保育士に優先接種を行うなど全国で動きが加速していますが、協議会の担当者は「市区町村で差が出ており、課題の一つとなっている」と指摘しました。