脳の働きは40歳くらいをピークに、あとは下り坂で衰えていきます。脳の動脈硬化が進んで血流が悪くなってくるのも、脳の神経細胞の減少が目立ってくるのもこの頃から。重要なのは『ストレスとのつきあい方』。体に悪い「悪玉ストレス」を減らし、ポジティブ・シンキングで「善玉ストレス」を増やすことで脳の疲労を減らし、心身に好影響をもたらすそうです。
決め手は脳の血流
神経細胞は、放置していれば50代くらいまでに20代の約7割、80代には半分くらいまでに減ってしまうそうです。
「OK指体操で認知症はよくなる」(マキノ出版)の著者で、埼玉成恵会病院健康管理センター(埼玉県東松山市)の竹内東太郎センター長(脳神経外科医)が言います。
「なぜ40歳なのかといえば、この頃から『脳の疲労』が蓄積されやすくなるうえに、その疲れが取れにくくなってくるからです。このように、脳が疲れてくる最大の原因は『血流の低下、停滞』にあります。脳の血流量が減ってくれば、それだけ神経細胞のエネルギー源となる酸素や栄養(ブドウ糖)の供給が滞りがちになるからです」
脳の病気の多くは血流の低下・悪化がベースにあるといいます。認知症も例外ではありません。
脳の血流の悪化が認知症の主要な因子のひとつであれば、それを防ぎ、改善することで病気の予防や改善にもつながる可能性があるわけです。
「運動と並んで、私が認知症撃退対策で重視しているのは『ストレスとのつきあい方』です。ストレスは脳の血流を悪くするばかりでなく、自律神経系や内分泌系など、心身のさまざまな面で脳の機能低下にダイレクトに影響します。ただし、ストレスには体に悪い『悪玉ストレス』と、ほどよい緊張や刺激で心身に好影響をもたらす『善玉ストレス』があることを知っておいてもらいたいと思います」
「つらい」「苦痛」を感じる悪玉ストレスは、交感神経が活発に働いて脳の血管を収縮させて緊張させる作用があります。この状態が継続すると脳の動脈硬化が促進され、その結果、血流が悪化して認知症のリスクを高めることになるとのこと。
一方、「やりがい」や「楽しみ」を感じる善玉ストレスは、副交感神経が活発に働いて血管を拡張し、体をリラックスさせる作用があるので脳も含めた血の巡りが良くなる様子。つまり、ストレスとのつきあい方で大事なのは、悪玉ストレスを減らし、善玉ストレスを増やすことになります。
「自らの力で善玉ストレスに変えることができます。大切なのは気持ちの持ちよう=気構えで、『ポジティブ・シンキング』です。仕事でも『ノルマを達成するぞ』『大きな契約を取るぞ』と前向きに頑張っている人は、善玉ストレスが優位になります。」
また、スポーツ、読書、ゲーム、プラモデル作り、日曜大工など、ひとつのことに集中して没頭することは悪玉ストレスを減らすことにつながるそうです。
ストレスと上手く付き合って、健康な脳の状態を保ちたいですね。