かつては安泰の代名詞だった正社員。しかし、彼らの大半は“負け組”予備軍だったのです。70歳まで働く未来を想定し、「なんとか会社にしがみついてやり過ごす」というスタイルはもはや通じない様子。
「45歳定年制」発言が物議を醸し…正社員を襲う絶望的な近未来とは?
終身雇用・年功序列の崩壊で、転職市場に40~50代の“元”正社員が溢れる光景は想像に難くないです。そこで繰り広げられるのは、正社員人生で培ってきたスキルが通用しない地獄絵図です。
「これまで正社員として結果を残してきた人でも、身につけてきたスキルが時代のニーズに合わなければいつまでたっても転職先は見つからないまま。営業畑で20年『足を使って契約を取る!』を信条に成績を残してきた人がいたとしても、今の時代はビデオ会議などを駆使し、いかに非対面で効率的に営業するかがトレンド。
このように、40~50代社員は長年積み上げてきたスキルと企業側のニーズのミスマッチが起こる可能性が高い」(人事ジャーナリストの溝上憲文氏)
人生をかけて培ってきたスキルや経験が40~50代になって一蹴されるのは、死にたくなるほどつらいすで。年齢を重ねてもトレンドにアジャストするよう、働きながらも自発的に新たなスキルを獲得する姿勢が必須ということでしょうか。
「また、日本の問題点として解雇された人が新たな仕事を得るために必要なスキルを習得する場がないことが挙げられます。
スウェーデンでは、セーフティネットとして被解雇者が次の仕事を見つけられるよう、ITスキルなどを学べる場が公的に用意されています。こうした制度の拡充がない限り、スキルがマッチしない40~50代は路頭に迷うか、肉体労働に従事するしか道はありません」
一方、解雇規制が緩和されて“雇用の流動化”が進めば、専門的かつ時流に即したスキルを持っている人にとっては飼い殺しを脱して年収を上げるチャンスとも言えます。生き残りたければ、今から必死にスキルを磨くしかないのかもしれません。
【人事ジャーナリスト 溝上憲文氏】 月刊誌、週刊誌記者を経て独立。経営、ビジネス、人事、雇用、年金問題などを中心に執筆活動を展開。著書に『人事評価の裏ルール』(プレジデント社)など
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 モデル/加藤昌夫 伊藤義浩>