突然、「まぶた」がピクピクとけいれんした経験がある人は多いのではないでしょうか。まぶたのけいれんは病気のサインなのでしょうか。かわな眼科(千葉県松戸市)の川名啓介院長に聞きました。
川名さん「まぶたのけいれんは目の片側で起きるのか、両側で起きるのかで意味が大きく異なります。目の片側のけいれんは、正式には『眼瞼(がんけん)ミオキミア』と呼び、目の周りの筋肉が自然に動いてしまう症状で、片目の上まぶたか、下まぶたのどちらかで起きることが多いです。肉体的・精神的ストレスや目の酷使、睡眠不足、コーヒーやアルコールの摂取が原因となることがあります。
ピクピクして気になりますが、片側の場合はゆっくり休養すると、1~2週間で改善することが多いため、それほど心配することはありません。一方、目の両側のけいれんは、正式には『眼瞼けいれん』と呼ばれます。ピクピクするだけでなく、目の疲れや乾き、まぶしさも感じることがあります。重症の場合、歩いていて、電柱にぶつかることもあります。実際には、目を開けにくくなるというのが本質です。
中枢神経の神経伝達異常と考えられていますが、はっきりした原因は分かっていません。若い人で眼瞼けいれんがある場合は、向精神薬や睡眠導入剤の服用が原因のことがあります」
Q.まぶたがけいれんするのは病気のサインなのでしょうか。
川名さん「先述したように、目の片側のけいれんはストレスが関係している場合が多いので、あまり心配せずに休養することが大切です。特に、すぐに治まり、目以外の部分が動かないなら心配いりません。けいれんがあるかどうかを常に気にしていると逆に症状が悪化します。心配し過ぎないことが大切です。
ただし、片側だけであっても、目の周りがピクピクするだけでなく、ほほや口の周りもピクピクする場合、『片側(へんそく)顔面けいれん』という病気のことがあります。神経内科を受診することをおすすめします。片側だけで、しかも、他の部分がピクピクしない場合でも、2週間以上続いたら、眼科を受診すべきでしょう。
目の両側のけいれんは病気が疑われるので、眼科や神経内科を受診した方がよいと思います。特に、けいれんが1週間程度続く場合、ほかに顔や体の症状がないのであれば、眼科の受診をおすすめします。ほかに顔や体の症状がある場合は、神経内科や脳外科の受診が適切かもしれません」
川名さん「繰り返しになりますが“気にしない”というのが大切です。リラックスをして、アルコールやカフェインなどの刺激物を避けるとよいと思います。適度な散歩をして、ほどよく疲れて、バランスのよい食事をして、夜は早く寝るということを心掛けるとよいでしょう。
また、最近は長時間、スマホを使う人が多くなっていますが、通常の生活では問題ないような度数の眼鏡・コンタクトレンズを使用していても、近くを長い時間見るのには向いていない場合があります。適切な度数の眼鏡・コンタクトレンズに変更することで、目の疲れが原因のけいれんを予防することができます。
加えて、スマホを使っている時間を意識的に計測するとよいと思います。思ったよりも長い時間、スマホを使っているのが分かるのではないでしょうか。デジタルデバイスは目に負担がかかりやすいので、その使用を控えるというのもよい方法です」