疲労やストレスを感じるときは、きちんと香りのするコーヒーを買うと効果てきめんです。実は、コーヒー豆には、香りそのものに驚くべき効能があるのです。
コーヒーをいれたり、買いに行く作業自体も脳のリフレッシュには効果的。手軽にできるリフレッシュ術こそ、コーヒーを飲む、嗅ぐことなのです。
いまや、ひきたて・いれたての香りの高いコーヒーは、コンビニなどでも手軽に手に入れられます。ストレスを感じたら、ぜひコーヒーを取り入れてみてください。
「コーヒー豆の香りには睡眠不足や疲労の原因とされる活性酸素によって破壊された脳細胞を呼び戻す効果がある」というソウル大学のスーらの研究(2003年)があります。
実験では、「正常なネズミ」と「24時間寝ていない寝不足状態のネズミ」を用意。それぞれにコーヒー豆の匂いを嗅がせました。すると、「寝不足でストレス状態のネズミ」では、ストレスから脳を守る分子の量が減少していたのですが、部分的に回復したというのです。コーヒー豆のようないい香りを嗅ぐだけで、ストレスを軽減できたというわけです。
また、米レンセラー工科大学のバロンが行った研究(1997年)では、大きなショッピングモールの中で、いったコーヒー豆やクッキーといった良い匂いが店内から漂っていると、落ちたペンを拾ってくれたり、お札の両替などを頼まれても快諾してくれるようになったりする、といった調査結果が明らかになっています。コーヒー豆などのいい香りは、人の親切心に影響を与えると示唆されたのです。
また、人に親切にする「向社会的行動」で、幸福度が上がるという研究結果もありますから、相乗効果でさらに気分がよくなりそうですね。
コーヒーの効能はこれだけではありません。「コーヒーナップ(コーヒーの昼寝)」といって、コーヒーを飲んだ後、30分ほど寝ると、頭がすこぶる冴えると科学的に証明されています。
脳に良い影響をもたらすカフェイン効果は30分後といわれているため、昼寝の相乗効果とともに覚醒度が上昇すると考えられます。
良いことずくめのコーヒーですが、夜に飲む場合は注意。コーヒーに含まれるカフェインは、摂取後、体内に残り続けます。摂取した半分の量が平均5~7時間ほど体内に残っているため、夕食後にコーヒーを1杯飲むと、深夜までその半分のカフェインが残り続けます。
翌朝起きたとき、「よく眠れなかった」と感じるのは、前夜に摂取したカフェインが原因の可能性があるのです。夜に摂取するときは、就寝時間から逆算して睡眠にカフェインの影響が出ないようにしたいですね。
(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)