【教えて愛先生「コロナ後」生活急変に克つ食・薬・習・慣】
最近、睡眠の質をスコアとして記録できるスマートウオッチで睡眠の質を把握している人も多いですが、睡眠が健康にとって大事であることを知っていながら何もできずにいる人が多い印象です。そこで、今回は睡眠の重要性と質を向上のための食薬習慣についてご紹介します。
最近、夜更ししていませんか?
緊急事態宣言は解けましたが、必要に応じたステイホームが定着し、リモートワークの比率が増えた方も多いでしょう。その結果、朝の時間にゆとりができて、ゆっくりと夜の時間を過ごせるようになった方も多いと思います。お酒を飲んだり、動画を見たり、リラックスタイムにストレス解消するのは良いことです。その一方で、夜型の生活に傾いてしまうことがありますよね。
そんな人にお聞きしたいのですが、朝疲れが残る、日中に頭がぼーっとする、といったことはないでしょうか?
ストレス解消と思っていた行動が、疲労の蓄積、脳の働きの低下につながってしまっているかもしれません。
まずは、睡眠の質を向上させることが大切。睡眠の重要性と、睡眠向上のための食薬習慣について説明していきます。
体の疲れをとるために寝るというのが普通ですが、睡眠は認知症の原因ともいわれるアミロイドβの排泄をしたり、記憶の定着をしたりと様々な健康状態に影響するものです。
また、睡眠時にわれわれは、浅い睡眠のレム睡眠と深い睡眠のノンレム睡眠を1セット=約90分とし、繰り返しています。眠りについて初めの1セットが最も深い眠りとなり、体の修復に役立つ成長ホルモンの分泌が高まります。その日の疲れを翌日に持ち込み蓄積しないためには、1セット目の睡眠の質を向上させる必要があります。
例えば、寝る前に、
・お酒を飲みすぎる
・眠る直前まで食べている
・お風呂に入ったあと湯ざめする
・PCやスマホをずっと見ている
・考えすぎる
-などのNG行為があると、1セット目の睡眠の質が下がります。
眠りが浅い人は、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールの分泌に問題があることもあります。通常は朝方にコルチゾールの分泌が増えて、目が覚めるのですが、その分泌に問題があると入眠困難、中途覚醒、朝のだるさなどを起こします。
ストレスは、メンタルの問題だけではなく、慢性的な体の炎症によるものもあり、心身ともにストレスが続くと副腎疲労を起こし睡眠の質を下げます。
ストレスにより睡眠の質が低下し、疲労が蓄積し、さらにストレスに弱い体になってしまうと、睡眠にまつわる問題は、負のループに陥りがちで、抜け出しにくいものです。いま睡眠の質が低下している人は、早めにもとのリズムに戻すことを考えましょう。
まず、温かいものを飲むようにしましょう。仕事中にアイスコーヒー、お風呂上がりと起きてすぐの冷たい水、食事中の冷たいお茶-などの習慣があるなら、温かいものに変更してみましょう。
コルチゾールの分泌を行う副腎をサポートする亜鉛やマグネシウムを多く含む貝類を意識して取り入れることもおすすめです。
シジミの味噌汁、魚介鍋、アサリのクラムチャウダーなど、温かいスープ、汁ものや鍋として貝類を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
■大久保愛(おおくぼ・あい) 1985年生まれ。秋田県出身。2008年昭和大学薬学部卒業。「アイカ製薬」代表取締役。薬剤師、国際中医師、漢方カウンセラー。商品開発や企業コンサルティングに携わる。ベストセラーシリーズの最新刊『体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売中