経済的な理由で生理用品の購入が難しい女子児童への支援として、東京都は都立学校の女子トイレに生理用品を配置する取り組みを始めます。
「生理の貧困」は新型コロナウイルス蔓延以前から「ネグレクト(育児放棄)により生理用品を買ってもらえない」「父子家庭のため親に生理のことを話しにくい」などの理由で表面化しにくい問題となっていました。
購入できなかった児童の対処法は、「生理用品を長時間使う」「トイレットペーパーやキッチンペーパーで代用する」が大半とのこと。
生理について啓発する団体「#みんなの生理」はオンライン署名サイトchange.org上で「学校のトイレに生理用品を設置してください!」を立ち上げ、2021年6月15日現在で25,000以上の賛同を集めています。
コメント欄には「せめて成人までは無料で全ての女性に配られるべき」「生理用品は消費税をかけるべきではないと思います」「全ての女性達が月経期間も不便なく日常を過ごせるなら、私の税金は惜しみなく使ってほしい」などの声が挙がっています。
問題を受けた東京都教育委員会は、2021年5月から都立高校7校の女子トイレに生理用品を先行配布した上で、配置場所や方法などについて検討を重ねていたといいます。
ナプキンやタンポンといった生理用品の種類については、女子生徒からのニーズを汲んだ各校が選べる仕組みとなるようです。
また都内では3月にも、豊島区が「生理の貧困」をサポートするため、生理用ナプキンを無料配布した実績があります。
今回の都立学校への生理用品配布の動きは、「生理の貧困」を都の問題として受け止め、継続的な支援に踏み切った形だと言えるでしょう。
取り組みの対象となる学校はすべての都立高校を始め、中高一貫校、特別支援学校など約250校とのこと。
取り組みは9月からスタートします。
公費を使って生理用品を配布することに対して、ネット上では一部懸念の声が挙がってはいるものの、概ね好意的な反応が多い様子。
Twitterでは「この流れが全国にも広まってほしい」「大きな一歩」といった、無償配布を後押しする意見が広がっています。
一連の流れを受けた神奈川県でも、6月から県立学校12校の女子トイレに生理用品を配置するモデル事業を始めました。
生徒へのアンケートを通してニーズや実状を把握した上で、今後の取り組みを決定していくものと思われます。
「生理の貧困」をサポートする全国の動きを、今後も見守っていきたいところです。