近年、日本では「猫」ブームや「猫コンテンツ」が熱狂的な人気を集めている。リアルな猫だけではなく、写真や漫画、本などが次々に登場し、人々の心を癒やす。
ブームが始まってから数年経つが、その勢いはとどまるところを知らない。
どうして猫が人気になったのか。
猫が人気になり続ける背景と、猫コンテンツについて語っていく。
このような「猫ブーム」が起こった背景の一つは、「日本人にとって、猫がこれまで以上に身近な存在になっている」、「猫が家族として迎えられている」ということにあると推測できる。
日本では深刻な少子化が進んでいるだけではなく、核家族化も進んでいる。
総務省統計局の発表によれば、日本の子供(15歳未満)の数は36年連続で減少し、今年の4月時点で1571万人。1954年のピーク時(2988万人)に比べ、ほぼ半減している。
一方で、猫の飼育頭数に関しては、2011年以降1000万頭くらいの横ばい(または微増)で推移。猫の飼育頭数については、断言はできないが、「子供の人数」と「猫の飼育頭数」の差が縮まっているのは間違いなさそうだ。
さらに猫の家族化の影響もあり、一緒に暮らす家族として猫を重要な存在だと思う人々も増えた。
そして野良猫や保護猫など一度は外で飼われていた猫だが、今は完全に室内飼いが進んでいる。
キャットフードや医療などの進歩によって寿命が延びていること、コロナ禍により室内で過ごすことが増えたことにより、一緒に過ごす時間も増えた。
つまり、「出生率が減ったが、猫はあまり減っていないので、人間社会における猫の存在感が高まっている」とも見なすことができるし、猫は家族にとって「なくてはならない存在」になってきているのである。
猫ブームの背景としてもう一つ重要な点は、「ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)」。
FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSにおいて、猫の写真や絵などの画像は、「コミュニケーションの手段」となる。
あらゆるSNSで、毎日多くの猫画像や猫動画、猫の漫画といった猫コンテンツが投稿され、目にするたびに「いいね!」を押してしまう。
自分の家に猫がいない人はネット上の猫に癒やされ、飼い主も承認欲求が満たされ、かつ、自慢の猫をアピールできて一石二鳥。
需要と供給が成り立つだけではなく、そこからコミュニケーションが生まれることもしばしばである。
おかげで毎日のように猫の姿を見せつけられ、その魅力にうっとりとし、影響を受けて猫好きになる人は非常に多いと聞く(筆者もその内の一人だ)。
また、実際に飼うに至った人もここ数年で増えているとのこと。
猫用SNSもあり、もはや一過性のブームではなく、猫が生み出す「コンテンツ」は日常として受け入れられつつあるように思う。
猫はもともと備えている魅力がSNSによって拡散されることで猫ファンが急増し、猫コンテンツブームに至った。
ただ近頃は、猫ブームに乗っかり飼ったものの、何かしらの理由で飼えなくなった猫が遺棄されるという事件やニュースなどをよく目にする。
猫をコンテンツとして見るのではなく、大切な家族と思える人が猫を迎え入れ、共に生涯を送ってほしいと、強く願ってやまない。