7月も中旬となり、九州や中国地方で梅雨明けが発表となりました。
他の地域でも、梅雨明けが間近に迫ったような気候の日が続いていますね。
そして、いよいよ夏。
熱中症対策に加え、東京都に緊急事態宣言が再発令されて、自宅で過ごす時間がさらに増えるなど、エアコンの本格的な稼働が必要な時季です。
暑さが本格化する前に行っておきたいエアコンのチェックポイントについて、ダイキン工業コーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんに伺いました。
「最も意識して頂きたいのが『エアコンは室内機と室外機の2つで1つのセット』であるということです。
室外機の性能を十分に発揮できる状態にないと、エアコンが本来持っている性能を十分に引き出すことができません。
しかし、室外機は名前のとおり室外に設置されているため、ふだんはその存在についてほとんど意識することがありません。つねに目につく室内機のほこり掃除はこまめに行っていても“室外機は設置以来一度も見たことがない”という方もいらっしゃるほどです。
暑い夏の日に“エアコンの効きが弱い”と感じたら、室外機の周辺環境に原因があるのかもしれません。
エアコンの冷房運転は、室内の熱を減らすことで涼しくします。室内機によって取り除かれた熱を運ぶのは、室内機と室外機を結ぶパイプ内を通っている『冷媒』と呼ばれる物質です。熱は冷媒に乗せられて運ばれ、室外機で屋外に放出されます。
そのため室外機周辺の外気温が何らかの原因で高くなりすぎて、外気温と冷媒の温度差が小さくなると熱を外に逃がしづらくなり、涼しくなるまでに時間がかかってしまったり、それによって消費電力が増加してしまったりすることがあるのです」(重政さん)
室外機が設置されることが多いベランダは、設置状況や気象条件によっては45℃近くの暑さに達することさえあるとのこと。
エアコンを本格的に稼働させる前に、室外機の周辺環境のチェックや見直しが必要なようです。
室外機の状態をチェックするときは、次の2点に気をつけましょう。
「室外機は日陰に設置するか、日除けで直射日光を防ぐようにしてください。日影がない場所に設置されている場合は、室外機から1mほど離れたところに植木を植えたり、よしずをたてかけたりして日陰を作ってあげましょう。
ただし、植木やよしずを室外機に近づけすぎて吹き出し口をふさいでしまわないよう、注意してください」(重政さん)
「室外機の吹き出し口付近やその周辺にものを置いたりカバーで覆ってしまったりして、吹き出し口をふさがないようにしてください。エアコンは運転中に部屋の中の熱を部屋の外に捨てるため、室外機は常に熱を吹き出しています。
吹き出し口がふさがれると、放出した熱風が再び吸い込まれてしまい、冷却効率が著しく低下します。室外機の前はスペースを空けてできるだけ風通しをよくし、スムーズに空気が循環できるようにしましょう」(重政さん)
さらに、近年多発しているゲリラ豪雨や浸水被害などの際、屋外に置かれている室外機へのダメージも不安です。
「水害などで室外機が水に浸かってしまった場合は、エアコンの使用を中止してください。室外機の電源プラグを抜くかエアコンのブレーカーを切って、販売店かメーカーに点検を依頼してください。
電気回路の部品に水がついてしまった場合、乾いたとしても、漏電・発火等が起きる危険性があります。また、泥などの不純物が小さな隙間に入り込んでしまった場合は、モーターなどに不具合が生じる可能性があります。浸水が浅かった場合でも、内部の部品に影響が生じている可能性があるため、専門家による点検は必要です」(重政さん)
そして、室内機の確認もお忘れなく。
「室内機では、とくにエアコンの空気を吸い込む入り口に付いていて、ごみやほこりがエアコンの中に入らないようにしているフィルターが重要な存在です。フィルターにごみやほこりがついていると空気の通り道をふさいでしまい、空気をしっかり吸い込むことができずに、部屋を涼しくするために多くの電気を使うことになります。
フィルターは2週間に1回の掃除で約5%の節電効果があり、1年間掃除しないと約25%もの“電気の無駄使い”が生じるといわれています。フィルターの掃除方法は、掃除機で吸い取るだけでOKです。汚れがひどいときは、中性洗剤を溶かしたぬるま湯でつけ置き洗いをしてください」(重政さん)
エアコンの室外機周辺の環境を整えることは、冷房効果はもちろん省エネ対策にも大きく役立ちます。
室内機の定期的な清掃も心がけて、猛暑とコロナ禍での自宅暮らしをより快適なものにしていきましょう。
※本稿はウェザーニュースより編集・抜粋しています。