車内を素早く冷やしたいときや外気のニオイや汚れが気になるとき、温度差で窓が曇ってしまったときなどは内気循環を使用し、通常時は外気導入にしておくことで頭痛や眠気などが起きない状態にすることが大切なようです。
夏に欠かせないクルマの装備であるカーエアコン。基本的な仕組みは家庭用エアコンと同じですが、クルマ独自の機構ともいえるのが「内気循環」と「外気導入」のモードを切り替えられることです。
外からの花粉やホコリ、ニオイなどをブロックするために常に内気循環モードにしている人もいると思いますが、外気導入を使わずに内気循環ばかりにしているのはお勧めできないようなのです。
自動車メーカーとしても一般的には外気導入を推奨していますが、それは一体なぜなのでしょうか。
日本自動車連盟(JAF)は、2019年に内気循環と外気導入による車内環境の変化についての実験をおこなっています。
その結果、内気循環だけでは車内の換気がうまくいかず、CO2濃度の上昇で息苦しさや眠気が出てしまうということがわかりました。
さらに、気になる花粉の付着は内気循環と外気導入ともにわずかな量しか検出されなかったのだそうです。
内気循環をしないほうが良いのかというとそういうわけではなく、シーンに応じて任意で切り替えることでより快適な車内空間が作れるとされています。
20年以上も修理・整備に携わってきた整備士Tさんに聞いてみました。
「最近のカーエアコンはオート機能が進化していますが、自分が快適だと思う車内空間になるように手動で操作したほうがいいと思います。
内気循環では、一般的に冷暖房が素早く効いたり、外気のニオイや悪い空気を取り込みにくくするなどのメリットがあり、また、冷暖房が効きやすいので燃費が若干改善する傾向があります。
一方で、CO2濃度が上がってボーっとしてしまうなど注意力が散漫になりがちなので、長距離や長時間の移動には向かないでしょう。
外気導入は、車内の酸素濃度はそのままでCO2濃度も上がらないので、換気の手間がないのがメリットです。
内気循環では車外との温度差や湿度差によって窓が曇ってしまうこともありますが、外気導入モードに切り替えることで曇りも取れやすくなります。
車内だけでなく機関内の換気を兼ねた外気導入のほうが、システム全体を上手に循環させ、故障リスクやカビなどの増殖も低減できると思います」
適切なタイミングで内気循環と外気導入を切り替えることが、快適な車内空間作りにつながるということです。