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ダイエット中でも「糖質があるおにぎりはOK」な医学的理由

細い女性

炭水化物、甘い物などの糖質を多く含む食品を制限し、短期間で体重を落とす方法として人気の「糖質制限ダイエット」。

ところが、実はこうした極端な糖質制限は、一時的には体重が減っても、リバウンドし、かえって太りやすくなるおそれがあるという。内科医の櫻庭千穂氏は「『太らない食べ方』を身につけながら、健康的にやせることが大切」と話す。

そこで今回は、『ラクやせおにぎり: 21日間でOK!ストレスゼロ!血糖値コントロールでみるみるやせる!』を監修した同氏が、健康的にやせる糖質の取り入れ方について解説する。

※本稿は、東洋経済オンラインの寄稿を一部編集・抜粋しています。

糖質は「太りやすいもの」と「太りにくいもの」がある

「ご飯(お米)を食べると太る」と思っていませんか?

多くの方が、「ご飯(お米)=炭水化物=太る」「ご飯=血糖値が上がる=太る」といったマイナスのイメージを持っているのではないかと思います。

「ご飯1膳は角砂糖15個分と同じ」などという文言もよく見かけます。

ご飯1膳を150gとすると、含まれる糖質は約53.4g。角砂糖1個は3~4gですから、約3.5gで計算すると、確かにご飯1膳には角砂糖15個分ほどの糖質が含まれています。

1膳で角砂糖15個、1日3食だと45個……と想像すると、とんでもない量の糖質をとってしまった! という気持ちになってしまいますね。でも、お米と角砂糖では、身体への影響はまったく違うのです。

まず炭水化物は、大きく分けて「糖質」と「食物繊維」があります。一般的に「炭水化物」というと、食物繊維を除いた「糖質」のことを指す場合が多いです。

「糖質」の基本となる一番小さい単位が「単糖類」。ブドウ糖や、果物に含まれる果糖があります。分子が小さいので、最も吸収されやすく素早くエネルギーになります。

単糖類が2つ結合したものが「二糖類」。砂糖はブドウ糖が2つ結合した「ショ糖」で、二糖類の代表的なものです。ブドウ糖に分解されてから吸収される分、単糖類よりは時間がかかりますが、それでも素早く吸収され、血糖値が上がります。

血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖はエネルギー源として細胞の中に取り込まれます。すぐに使わない分は、グリコーゲンという形で筋肉や肝臓に貯蔵され、さらに余った分は体脂肪として蓄えられます。

「単糖類」「二糖類」は、糖質の中でも「糖類」に分類され、肥満や糖尿病にもつながるのでとりすぎ注意の糖質です。

一方で、ご飯に含まれる糖質(でんぷん)は、単糖類がたくさん結合した「多糖類」です。体内に吸収されるまでに、咀嚼されて、消化酵素によって単糖類まで分解される過程があるので、血糖値の上がり方は糖類に比べてゆるやかになります。よく噛んでゆっくり食べれば吸収のスピードはさらに遅くなり、太りにくくなります。

「ご飯を食べて太った」という人は、よく聞いてみると、脂たっぷりのおかずと一緒に食べていたり、早食いで満腹になる前に食べすぎていたり、ストレスでドカ食いしたり、食べ方が原因ということも少なくありません。健康的にやせるためには、食事の栄養バランスを整え、食べ方そのものを変えていくことが大切なのです。

間違った糖質制限をすると太りやすい体質になる

短期間で痩せられると話題の糖質制限ダイエット。挑戦したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、砂糖のたくさん入った甘いお菓子や清涼飲料水のような「糖類」を控えることは、肥満や糖尿病の予防・改善のためには有効です。

しかし、身体に負担をかける間違った方法もよく見かけます。「ご飯・パン(主食)は食べない」「おかずなら、何でも好きなものを好きなだけ食べてOK」と思っていませんか? 主食を抜くような極端な糖質制限は、一時的には体重が減ってもリバウンドしてしまうことがよくあります

糖質は、身体を動かし筋肉を保つための大切なエネルギー源です。極端な糖質制限をすると、身体を動かすためのエネルギーが不足し、空腹感、疲労感に襲われます。精神的にもストレスが大きく、挫折やリバウンドの原因にもなります。

エネルギーが不足した状態では、筋肉を分解してエネルギーを捻出しようとするため、筋肉が減って基礎代謝が低下し、逆にやせにくい身体になってしまうのです。

おかずを無制限に食べている場合、糖質は減らせていても、タンパク質・脂質が過剰になり、結局は太ってしまうということも少なくありません。また、ご飯を抜いて糖質を減らしているつもりで、主食以外から知らず知らずに糖質をとっていることもよくあります。こってりした濃い味付けが好きな場合、とくにそのような傾向があるようです。

糖質と脂質、どちらが良い悪いではなく、どちらも食べすぎれば当然太ります。「腹八分目に医者いらず」というように、お腹いっぱいになるほど食べすぎず、適量でおさめることが何より大切です。

食欲をコントロールしているのは、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢。血糖値の上下によって、空腹・満腹という感覚を生じさせます。食欲に支配されず健康的に無理なくやせるには、この「血糖値」をうまくコントロールし、満腹感を持続させることがポイントになります。

太らない人の炭水化物の取り入れ方

そこでおすすめしているのが「お米」です。お米は、血糖値の上下が緩やかで、腹持ちがよく、実は健康的な食材といえます。ただし、一気にたくさん食べてしまっては、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が増えて太りやすくなってしまいます。血糖値の変動を小さくするために、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。

手間がかからず、忙しい方にもぴったりなのは「おにぎり」です。具材を工夫すれば、栄養バランスのとれた優秀なダイエットメニューになりますし、玄米やもち麦など雑穀入りのご飯を使うと、さらにダイエット向きになります。

極端な糖質制限や食べないダイエットと違い、空腹感、疲労感、イライラ感などのストレスが非常に軽く、負担を感じずに取り組むことができます。忙しいビジネスパーソンにもおすすめの方法です。「お昼はコレ」と決めてあらかじめ準備しておけば、誘惑に負けることもなくなりますね。