今年のノーベル物理学賞にアメリカ・プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さん(90)が選ばれました。
※本稿は、TBSNEWSの寄稿を一部再編集・抜粋しています。
真鍋さんは地球温暖化研究の先駆的存在で1950年代末からアメリカにわたり、コンピュータを用いて気候の変動を分析する研究分野を開拓しました。
その後、二酸化炭素濃度の上昇が大気や海洋に及ぼす影響を世界に先駆けて研究し、現代の地球温暖化予測の枠組みを築きました。
日本のノーベル物理学賞の受賞者は、2015年の梶田隆章さん以来、12人目です。
真鍋さんは1958年に東京大学大学院を修了後、アメリカ海洋大気庁(当時:気象局)の研究員となりました。
1997年に帰国し、当時の科学技術庁の温暖化研究チームに着任、2001年からは再びアメリカにわたり、現在はプリンストン大学上席研究員をつとめています。
真鍋さんは現在、アメリカ国籍を取得しています。
日本学士院のHPによりますと、真鍋さんは東京大学で気象学を専攻し学位を得たあと、招かれて米国に渡り、40年にわたって同国海洋大気庁・地球流体力学研究所で研究を続けて来ました。
真鍋さんの大きな業績は、コンピュータによる気候のシミュレーション・モデルを開発。
それを用いて気候の成り立ちと変動を解明するという新しい研究分野を開拓したことで、同時に、二酸化炭素の増加による地球温暖化に関しても理論的基礎を確立するとともにコンピュータ実験によって、世界各地の気候変化を推定する研究において世界をリードし、現代の地球温暖化予測の枠組みを築きました。
真鍋さんは日本出身であることからしばしば日本を訪問して研究指導や講義を行い、さらに1997年から5年間日本の研究グループのリーダーをつとめ、日本における気候変動研究を最先端に導くなど学術の発展・向上に大きく貢献しました。
真鍋さんの経歴を今一度、年表で振り返ります。
・1953年に東京大学理学部を卒業。
・1958年に東京大学大学院理学系研究科修了・理学博士を取得しました。
・1958~1963年には米国気象局大循環研究部門の研究員をつとめ、
・1963~1997年には米国海洋大気庁地球流体力学研究所の上級研究員もつとめました。
・1968~1997年にはプリンストン大学大気海洋科学プログラム客員教授をつとめました。
・1983年に東京大学特別招聘教授に就任。
・1997~2001年には宇宙開発事業団・海洋科学技術センター、地球フロンティア研究システム地球温暖化予測研究領域長をつとめました。
・2008、2009年には名古屋大学特別招聘教授をつとめました。
受賞理由については、地球の気候を物理的にモデル化し、変動を定量化して地球温暖化を確実に予測したこととしています。