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「給料が上がる見込みは低い」“貧困正社員”が多数生まれる未来とは

失敗

かつては安泰の代名詞だった正社員。ですが、彼らの大半は“負け組”予備軍だったのです。70歳まで働く未来を想定し、「なんとか会社にしがみついてやり過ごす」というスタイルはもはや通じないといえます。今回は出世&給料について掘り下げていきます。

出世という概念は消滅!?貧困正社員が生まれる未来とは

正社員が年収を上げるためには昇進・出世が必要不可欠でした。しかし近未来では、出世できる正社員は全体の1割程度。9割の正社員は、出世という概念さえない世界で働くことになるといいます。 

「ジョブ型雇用へと舵を切る企業が増加するためです。ジョブ型雇用とは、担当する職務内容(ノルマ)を明確に定義し、職務の大きさに応じて報酬が支払われる雇用形態。つまり、今までの年功的給与はなくなり、職務が変わらない限り給与は上がらない。  

これまで日本ではプレーヤーとして成果を出した社員が管理職へと出世するのが常でしたが、ジョブ型雇用での管理職はプレーヤーからの登用ではなく、“マネジメントのプロ”の要件を満たすエリート社員が務めるようになる。

つまり、マネジメント層に入れない限り、出世とは無縁のまま現場でノルマに追われ続ける社会人人生を歩むことになります」  

そう語るのは人事ジャーナリストの溝上憲文氏。パーソル総合研究所の調査(’21年1月)によると、ジョブ型雇用をすでに導入した日本企業は18%。導入を検討している企業は39.6%に上った。年功序列からの脱却、新卒一括採用での教育コスト削減など、ジョブ型雇用は企業側のメリットが大きいため、この潮流が今後も広がっていくのは間違いないでしょう。

ジョブ型に移行しても給料は上がらない

出世という概念が消滅するとはいえ、しっかりと成果を残せば給与に反映されるのがジョブ型雇用の理念のはず。とはいえ、ノルマに追われるようになるばかりで、正社員の給料が上がる見込みは低いという声も。  

今年4月からジョブ型雇用を導入した企業に勤める40代の中堅社員は「職務と成果に応じた報酬を定められたものの、求められる成果がどれもムチャなものばかりで昇給は夢のまた夢。むしろ給料は下がった」と嘆きます。こうした、ジョブ型雇用を曲解したケースは少なくないとか。

「経営者もまた将来に不安を覚えて追い詰められ、手段を選べなくなってきている。20年間の賃金上昇はわずか0.4%(OECD調査)と、そもそも昨今の日本人はまったくと言っていいほど昇給しておらず、その水準は先進国で最下位レベル。  

その要因はひとえに会社が儲かっておらず、デフレが続いているから。ジョブ型に移行することで人件費が高止まりしている構造が改善する可能性はありますが、今の社会で社員に大きく還元される未来は描きにくい」  

そう分析するのは経営コンサルタントの中沢光昭氏。終身雇用や年功序列といった特権が失われた正社員の待遇は、もはや非正規と大差がないレベルにまで落ちるとみています。

“貧困社員が多数生まれる?

「ごく一部のエリート正社員だけは幹部候補生として出世して高給取りになり、残り9割は正社員とはいえ非正規と大して変わらぬ待遇で酷使され続ける。相対的な日本人の給料は今後も下がり続け、“貧困正社員”が多数生まれるのでは」(経営コンサルタントの日沖健氏)  

正社員であっても、解雇の影に怯えながらノルマに追われて生きる日々。正社員が報われる日は遠くなるばかりなのでしょうか…。

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平>

―[正社員[9割は負け組]説]―