医療逼迫(ひっぱく)のギリギリの状態で対応に追われる沖縄協同病院救急センター(那覇市)。自宅療養者は多いそうですが、彼らが一斉に病院に押し掛ければ、医療は崩壊する可能性が高いとのこと。限られた医療資源を誰に使うかを選択せざるを得ない状況になっているそうです。
沖縄県内で新型コロナウイルス新規感染者数が700人を超え、自宅療養者が2500人余りとなる中、症状悪化に耐えかねた感染者が直接、病院に駆け込むケースが出始めています。病院が症状を確認した後に家に帰される人がほとんどですが、生命に危険が及ぶと判断され、さらに少ない病床をこじ開けることができた場合、何とか入院となるケースもあります。医療逼迫(ひっぱく)のギリギリの状態で対応に追われる沖縄協同病院救急センター(那覇市)を取材しました。(社会部・城間陽介)
20日午後0時30分、県コロナ対策本部から自宅療養を指示されていた40代男性が「呼吸苦がひどくなった」と訴え、事前連絡もなしに来院しました。血中酸素濃度は著しく低下し、肺のCT画像で中等症レベルの肺炎が認められました。
本来なら県の対策本部や保健所が毎日電話で体調を確認し、入院が必要と判断した時点で病院と調整に入りますが、現在はそれも難航しているとのこと。「事前調整なしの来院はルール違反。ですが、ここまで肺炎が進むと入院が必要」。カルテを見ながら救急医の林峰栄医師は言います。
〈これからはワクチン打ちます。絶対打ちます。こんなにつらいとは…〉
看護師がメモした男性患者の言葉に、林医師は「(男性のような)自宅療養者は多いかもしれないです。ですがどの病院も病床逼迫で対応し切れない。彼らが一斉に病院に押し掛ければ、医療は崩壊するでしょう」。
8月に入り、比較的軽症の若年患者が直接来院し、帰宅させられるケースが増えているそうです。昨年、感染拡大が始まった頃は陽性者全員を入院させていたそうですが、1年余りで状況は一変したとのこと。「申し訳ないですが、入院は本当に状態が悪くなった人だけ。すでに、限られた医療資源を誰に使うかを選択せざるを得ない状況になっています」(林医師)。
沖縄協同病院の全病床数は280。そのうちコロナ専用が28床、一般が234床。いずれもほぼ満床状態が続いているそうです。今年4~7月の4カ月間で消防からの搬送受け入れ要請を断ったのは154件で、昨年同期比70件の2倍超となりました。救急車の受け入れ割合(応需率)も90%と低下しています。
※沖縄タイムス参考