エンタメ・芸能・youtube・SNSをまとめたメディアサイト!

協力金で「バブルやね」 色眼鏡で見られる飲食店の苦悩

悩む女性

新型コロナウイルスの猛威が続く中、飲食店がいわれのない中傷や客離れに悩んでいます。休業や営業時間短縮の要請に応じて協力金を受け取ることで「働かないでお金が入る」「コロナバブル」と皮肉られ、不規則な営業によって客も離れているといいます。店を開けられないジレンマに追い打ちをかけるような目に遭う店主たちは、元通りに仕事ができる日を待ち望んでいます。

「飲食店バブルやね」「えらいもうかっとろう?」「飲み屋セレブ」・・・協力金の事を言われると、つらい思いになるというスナックを営む女性

福岡県志免町でスナックを営む女性(66)は、ママとして約20年、店を切り盛りしています。

協力金のことで客や知人、友人から、からかわれてきたそうです。店を開けられないつらさを説明しても分かってもらえないのです。「お金のことを言われるのが一番嫌。カチンと来るけど何も言わないようにしてる」

今年に入り、通常通り営業できたのは合計で2カ月半ほど。残りは休業か、午後8~9時まで。売り上げゼロの日が続きました。

協力金に加え、店舗の家賃の補助金を何度かもらったそうですが、店の経費は月20万円近くかかるのだとか。

行政から受け取るお金は収入として申告しなければならず、来年以降の所得税や国民健康保険税、住民税の負担に跳ね返るかもしれません。今後の収入の見通しも立たない中で手を付けたくないのに、「バブル」と色眼鏡で見られるのが耐えられないそうです。  

別の店のママからも同じ思いをしているそうです。ある夜、ママが何度も「今度おごってよ」とせがまれていた男性客と来店し、ひとしきり飲んだ後に2人分を支払っていったんだとか。「なんでそこまでせんといかんと?そんなのもう、たかりやん」 

仕事がないと生きている実感がない。家に1人でいることが多く、人と話す機会は減った。寝付きが悪く、30分ほどで目が覚める。

「そこまでいろいろ言われるなら協力金なんかいらない。普通に仕事をしてお金をもらいたい」

客は戻ってくるのか、不安で眠れない

福岡市で居酒屋を営む女性(72)もつらい目に遭っているそうです。客や知人に会うたび「よかやん、休んでてお金がもらえるけん」と言われるそう。 

コロナ禍で休業と時短営業を繰り返しているようで、要請が解除されると通常営業に戻しますが、売り上げはいつもの3分の1に。自分も息子2人も給料がほぼゼロになり、協力金に頼るしかなくなったとのこと。 

店は土地と建物のローンがまだ残るものの、地代や賃料はかからないため行政の家賃支援は受けられないそうです。維持管理費はローンや保険料、冷蔵庫のリース料などを合わせると月30万円以上で、余裕はないようです。

自宅では電気代を節約するため、3人ともリビングで寝ているそうです。シャワーは1人5分。「それなのに『お金がもらえるからいいね』と言われてもねえ。店を開けて商売をしていた方がいいのに」  

8月からは午後8時まで店を開けています。酒は出さず、売り上げはゼロか、多くて1日3千円。

先のことを考えると眠れない。コロナが収束したとき、客は戻ってくるのか。協力金なしでやっていけるだろうか。その日が来るまでせめて元気でいたいと思うそうです。 (編集委員・河野賢治)