「人生100年、定年70歳!」などといわれていますが、70歳まで今の会社にいられるとは限りません。企業は早期退職で中高年社員を追い出しにかかり、残っても賃金カット、職場は針のむしろということも。実は高難易度の会社員後半。どうサバイブすべきかを探ってみました!
つらいのに、辞められない。多くの中年会社員が陥るそのジレンマから見事脱出できたのが、SEとして働く真田太さん(仮名・45歳)です。
十数年前、上司とそりが合わず、自殺寸前まで追い詰められた真田さんは、その頃から早期リタイアを目指し、虎視眈々と資産形成を進めてきました。
「現在の資産は4500万円で、目標額は5000万円です。リタイアの一つの目安は、資産額の4%が年間支出額になる『4%ルール』が有名です。妻子もいない僕の場合は、年間の生活費は200万円ほど。だから、ひとまず5000万円の資産を貯めて、年間の運用益200万円を得るまでは会社を辞めないと決めています」
手取り年収500万円の半分は貯蓄しているため、目標額の達成まではあとわずか。ですが、達成後も即リタイアは考えていないとか。
「昨今はFIREも話題ですが、嫌な上司とは離れられたので、焦って辞める必要はなくなりました。正直、先行きの見えない時代なので、働けるうちは働かせてもらえるほうがありがたい。現在も朝9時から終電まで働く厳しい日々ですが、以前のように自殺を考えるほど追い詰められる状況でなければ、定年まで働くと決めています」
<h3>「いざとなったらFIRE」その思いから、職場環境が好転</h3>
また、不思議なことに、資産が増えるほどに、会社での日々が楽になってきたと真田さんは続けます。
「前は理不尽なことがあっても言い返せず、悶々としていました。でも、今は『いざとなったら辞める』という思いがあるので、嫌な仕事を押しつけられたら『その仕事は苦手なので、こちらの仕事を任せてもらえれば成果を上げます』などと積極的に交渉できるようになりました。昨今は会社側も社員のモチベーション管理に気を配っていますし、必ず会社側にメリットのある形で交渉するので、受け入れられることが大半。そのおかげで、定年まで働ける環境を、徐々に獲得しつつありますね」
切り札を持つだけで、世界の見え方は大きく変わってくるのですね。
<取材・文/週刊SPA!編集部>