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元バイトAKBのラーメン店主がフードジャーナリストを提訴 若者を辟易させる「マウントおじさん」の心理とは

元バイトAKBのラーメン店主がフードジャーナリストを提訴 若者を辟易させる「マウントおじさん」の心理とは

 元「バイトAKB」で、複数のラーメン店を経営している梅澤愛優香(24)さんが9月24日、自身のツイッターで「ラーメン評論家の入店お断りします」と更新。その理由として「マウンティング」と「言葉のセクハラ」を挙げ、それを避けたら中傷されたことも明かしましたが、17日配信の文春オンラインが梅澤さんが店主を務める「麺匠 八雲」が使用している食材の産地偽装問題や経営のずさんさを報じ、梅澤さん本人が謝罪する事態になりました。一方で、梅澤さんはフードジャーナリスト・はんつ遠藤さんに対して、セクハラや中傷などを受けたとして、精神的苦痛への慰謝料など330万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴すると報じられました。はんつさんは、「麺匠八雲」の内装工事をめぐり、SNSに友達限定で虚偽の内容を投稿したということです。

「マウントおじさん」は、「生きづらさ」を抱えて生きていた

梅澤さんが置かれた状況は少しずつ変わりつつあるようです。ただ、かねてより「アニメ」や「釣り」「映画」など、特定のジャンルで自らの知識や解釈を押し付け、マウントをとるおじさん世代に、若者が辟易する場面がSNSなどでたびたび見られるようになったのも事実。今回は敢えて年配者の「マウンティング」にスポットを当てたいと思います。 

なぜ、一部のおじさん世代はこのように自分の得意ジャンルでマウンティングしてしまうのでしょか。臨済宗の僧侶で、精神科医として「RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」の副院長を務める川野泰周氏に話を聞きました。 

「一番の理由は『自己愛の偏り』と考えられます。自己愛とは自分に対する愛情のことですが、他者からの承認が得られず、満たされなかった結果その自己愛が歪んだ形で形成されてしまいます。今、『中年』と呼ばれる世代の皆さんは、戦時中に生まれた世代あるいは団塊の世代に育てられた世代に該当します。親である団塊の世代の人々の特徴として、本当にやりかった夢や自らの人生哲学など、自分の指針を見つける暇もないくらい社会の成長と動乱に巻き込まれる形で働き続け、無意識のレベルで満たされない思いが蓄積されてきた世代でもあると考えられています。そこでこうした心の葛藤を無自覚に抱えてきた方々は、自分のできなかったことを無意識的に、次の世代、つまり自らの子供らに託してしまうという現象が起こります。『自己心理学』という心理学の分野では、この現象を『自己の延長』と表現することもあります。  

今のおじさん世代は、そんな父親たちの『自己の延長』として育てられた側面が強く、幼少期から『こういう風になると偉くなれる』『こういう企業に入るとすごいんだぞ』というように親が自分のことを棚上げして子供に託してしまった結果、受験戦争やバブル崩壊後の社会で自信が持てなかったり、そのプレッシャーに負けたまま大人になったケースが実はとても多いと考えられるのです」  

そんな世代特有の「生きづらさ」を抱えた人たちが、最も恐れることが自分で自分を否定してしまうこと。「だから先手必勝なのです。つまり、自己存在を否定したくないがために、先に他者を否定し、攻撃する。こうして無意識のうちに自分の存在を保護しているというわけです」

おじさんによるマウンティング被害を軽減するには

だからこそ、この負の連鎖をどこかで止めることが重要だといえます。

「私たち精神科医や、心理学を専門としている人の多くはそうしているのですが、自分に対して向けられる攻撃性に対しては、その人の置かれた状況を客観的に観察するようにするのです。それによって、分析的な立場で見られるので感情的にならずに済むことができます。人間は残念ながら人にされた経験のあることしか、他者に対してすることができないという特徴があります。誰かが自分に攻撃性を向けてきた場合、その人は自分以外にも攻撃的な振る舞いを繰り返してきた可能性を考えることが大切です。そして、その人がそうならざるを得ない理由を自分の中で検討しておくのです。『あー、この人はやっぱりこのパターンなんだ』と俯瞰的かつ冷静に対処することができます。」  

(取材・文=SALLiA/ライター)