睡眠の質を高めるには、規則正しい生活で、同じ時間に就寝して起床し、少なくとも7時間の睡眠時間を確保すること。さらに睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、一晩でノンレム睡眠とレム睡眠が3~5回繰り返されます。ノンレム睡眠の中でも眠りの浅い段階で目覚められれば、眠気の少ない状態で、気持ちよく起きられます。
また、寝る前にカフェインやアルコールを取りすぎない、睡眠前2~3時間以内の激しい運動や高温の湯への入浴をしない、寝る直前までスマホをいじらない。さらに、自信の体にあったマットレスに変えることも有効です。
睡眠に関わる製品やサービスを提供するドイツ発のスリープテック企業「エマ・スリープジャパン」が行った調査「コロナ渦における働く女性の睡眠に関する意識調査(20~60代女性対象、回答数529)」によれば、起床時に不快感を覚えている人は約8割で、「寝ているのに眠い」という回答が最も多く、4割以上を占めました。この調査では平均睡眠時間が6時間程度だったので、もともとの睡眠時間が足りていない人も多いのですが、眠り方で睡眠の質が下がっている可能性があります。
「睡眠の質を上げる・下げるは表裏一体です」と話すのは、同社の小原拓郎さん。ドイツにある本社の睡眠研究をもとに、日本人の睡眠改善に役立つ情報を発信しています。
「睡眠の質を高めるには、規則正しい生活で、同じ時間に就寝して起床する。少なくとも7時間の睡眠時間を確保する。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、最初はノンレム睡眠から始まり、どんどん眠りが深くなって、次はレム睡眠が現れます。一晩でノンレム睡眠とレム睡眠が3~5回繰り返されるわけですが、ノンレム睡眠の中でも眠りの浅い段階で目覚められれば、眠気の少ない状態で、気持ちよく起きられます」
ノンレム睡眠とレム睡眠の睡眠周期は、90分ごとだといわれています。しかし、実際は個人差がかなりある様子。自分がどのタイミングで目覚めるとベターなのか、睡眠時間をいろいろと試してみるといいそうです。
「私の場合、12時に寝て翌朝7時に起きるのがちょうどよく、こうするとアラームをかけずに自然に目が覚め、1日を快適に過ごせるようになりました」
(小原さん=以下同)
寝る前の環境も、睡眠の質を左右します。カフェインやアルコールの取りすぎ、睡眠前2~3時間前以内の激しい運動や高温の湯への入浴などはNG。今よくあるのが、寝る直前までスマホをいじっているケースです。活動時に高まる交感神経を刺激し、睡眠の質が悪くなるのだとか。
冒頭の調査では、「腰が痛い」(約3割)、「肩が痛い」(約2割)も起床時の不快感として挙がっています。これらは寝具によって解決できる可能性が高いです。
「マットレスを選ぶ時は、実際に寝て試してみて自分の体にあった硬さのものを。体格や体重で人それぞれ合うマットレスが異なります。硬すぎると腰や肩の部分が圧迫されて血行が悪くなり、柔らかすぎると体が沈み込みすぎて負荷がかかります。マットレスを変えたら腰痛が消えた、目覚めが良くなった、という人もいます」
ちなみにマットレスは消耗品。耐用年数は商品によるが、それを超えて使っているとマットレスがへたってしまい、体圧分散がうまくできなくなることも。それも体への負荷につながります。
「枕に頭を乗せて横になった時、頚椎がのびて負担がかからない姿勢になるのが大事です。ちょうど良い高さのものがなければ、バスタオルなどで調整するのもいいでしょう」 「首にシワができるから枕を使わない」という人がいますが、うつ伏せ寝が主ならまだいいものの、仰向け寝や横向き寝だと、枕なしは首に負担をかけます。枕は使ったほうがいいでしょう。